育児と本業の合間に、趣味でAIと一緒にゲームを作っています。今回は「そだてクエスト」らしく、育児の話から少し離れて、この制作の中で痛感した教訓を書いておきます。

作ったもの
ここまでに2本、ブラウザで遊べる短編ホラーアドベンチャーを公開しています。
- おとしもの:配信を終えた夜、境界の向こうへ踏み込んでいくピクセルアート心理ホラー
https://shiroi-karasu-otoshimono.netlify.app - まだ、帰れる?:終電のあとの駅を巡る短編横スクロールホラー
https://beruko-mada-kaereru.netlify.app/
どちらもシナリオ・演出の方向性はこちらで決め、実装はAIと一緒に進める形で作りました。プログラムを専門にやってきたわけではありませんが、この分業なら形にできることが分かったのは、今回の一番の収穫です。
一番刺さった失敗:実装したのに、一度も発動していなかった
「まだ、帰れる?」には、プレーヤーの背後に何かが近づいてくる仕掛けがあります。歩き続けるほど気配が溜まり、一定量を超えると振り返った先に何かが立っている、という恐怖演出です。
この「一定量」を決める数値を、最初は感覚で置きました。コードレビュー上は間違っていないし、動作確認でもエラーは出ません。「実装完了」として、しばらくそのまま残っていました。
ところが、実際にホーム1本分をきちんと歩き切ったときに溜まる量を計算してみたところ、恐ろしいことが分かりました。設定していた「発動する量」に、6章分すべてを通しても一度も届いていなかったのです。プレーヤーがどれだけ普通にプレイしても、この演出は理論上ゼロ回しか起きない状態でした。
経営学的に見ると:「対応済み」の基準を勘違いしていた
この失敗が怖いのは、バグそのものより、気づくまでの間、誰もそれを問題だと思っていなかったことです。ドキュメントには「実装した」と書いてあり、その記述だけを見た人は「もう対応済み」と判断してしまいます。実際、この機能はその後もしばらく、対応済みの前提で他の調整が進んでいました。
経営の現場でも同じ構造の失敗がよくあります。「施策を打った」という事実と、「その施策が効果を発揮している」という事実は別物なのに、前者をもって後者を証明したことにしてしまう。会議で「対応済みです」と報告が上がると、それ以上検証されないまま次に進んでしまう、というやつです。
このゲーム制作で学んだ再発防止策はシンプルで、「実装した」で判断を止めず、実際の数字で動作を測ってから合否を決めるというものです。この一件のあと、演出や数値を変えるたびに、専用の測定コードを書いて実際の到達回数を確認する運用に変えました。育児の意思決定でも、「やったつもり」と「効いているかどうか」は分けて確認したいと、あらためて思っています。
まとめ
- 育児と本業の合間に、AIと一緒にホラーゲームを2本作った
- 「実装した」は動作確認としては十分でも、「意図通り機能しているか」の証明にはならない
- 唯一の恐怖演出が、実測するまで一度も発動していなかったことに気づかなかった
- やったことの事実と、効果が出ている事実は分けて確認する。これは育児の工夫にも当てはめられる視点だと思っています