べるぞね

年中〜年長にもなると、レジで「これ買って」を我慢させる場面が増え、そろそろお小遣いを考え始める家庭も出てきます。ただ調べてみると、「いつから」「いくら」以上に、「定額制か報酬制か」という渡し方の設計の方が、実は子供の金銭感覚に大きく影響するようです。

コイン入れを両手で差し出す子供に、コインを渡すパパのドット絵イラスト

いつから始める家庭が多いか

お小遣いを渡し始めた年齢を調査した結果では、7歳(小学1年生)からが30.5%で最多、次いで10歳(小学4年生)が13.0%、13歳(中学1年生)が12.9%と続きます。低学年から始めると金銭感覚を早く身につけやすい一方、10歳前後まで待つ家庭は「自分でお金を管理できる年齢まで待つ」という考え方をとっている傾向があります。

「正解の年齢」は特になく、早く始めるか・計算力がついてから始めるかは家庭の方針次第、というのが調査から見える実情です。年中・年長のうちは、実際にお小遣いを渡すより先に、お店で「今日は300円分だけ選んでいいよ」のような疑似体験から始める家庭も多いようです。

金額の相場

金融広報中央委員会の調査によると、月々のお小遣い平均額は小学生984円、中学生2,536円、高校生5,114円です。学年別に見ると、低学年・中学年は月1回渡す場合で500円程度が目安とされています。お小遣いをもらっている子供の割合は、小学生低学年で72.9%、高学年で73.2%と、学年による差はあまりありません。

定額制と報酬制、根本的に違う設計思想

お小遣いの渡し方は、大きく「定額制」「都度制」「報酬制」の3タイプに分かれ、約7割の家庭が定額制を採用しています。この2つは単なる金額の決め方の違いではなく、子供に何を学ばせたいかという設計思想がまったく異なります。

定額制毎月決まった額を渡す。限られた予算内でやりくりする計画性・自己管理を学びやすい
報酬制お手伝いや成果の対価として渡す。お金は労働の対価という実感を得やすく、達成感も伴う
報酬制には見落とされがちな副作用もあります。お小遣いという見返りがないと、お手伝いや勉強を自発的にしなくなる恐れがあり、「〇〇したから、お小遣いちょうだい」と要求される事態にもなりかねません。定額制をベースに、特別な仕事だけ報酬制を組み合わせる「ハイブリッド型」を採用する家庭もあります。

経営学的に見ると:報酬制はアンダーマイニング効果と同じ罠を抱えている

報酬制の副作用は、別記事で扱った「アンダーマイニング効果」とまったく同じ構造です。心理学者エドワード・デシのパズル実験では、報酬をもらっていたグループの方が、後になってパズルへの興味が下がるという結果が出ました。お手伝い一つひとつに値札をつけてしまうと、「家族の一員として自然に手伝う」という内側から湧く動機を、外からの報酬が食いつぶしてしまうリスクがあるわけです。

一方で定額制には、経営学でいう予算制約下の意思決定の練習という価値があります。企業経営でも家計でも、予算は無限ではないので「何にいくら使うか」の優先順位づけが常に発生します。子供にとっての月500円も同じで、限られた枠の中で「今すぐお菓子を買うか、来月のおもちゃのために貯めるか」を選ぶ経験は、将来の家計管理や事業予算の感覚にそのままつながる、小さな意思決定訓練になります。

「お金は働いた対価だと実感してほしい」が最優先なら報酬制、「限られた予算の中で計画的に使う力をつけたい」が最優先なら定額制、という整理になります。両方とも学ばせたい場合は、基本は定額制にしつつ、特別な家事だけ都度の報酬を上乗せするハイブリッド型が無難な落としどころです。

まとめ

  • お小遣いを始める年齢は7歳(小1)からが30.5%で最多。「正解の年齢」はなく家庭の方針次第
  • 月々の平均額は小学生984円、中学生2,536円、高校生5,114円(金融広報中央委員会調査)
  • 定額制は計画性・予算内でのやりくりを、報酬制はお金と労働の対価関係を学ばせやすい
  • 報酬制はアンダーマイニング効果と同じ罠を抱える。基本は定額制+特別な仕事だけ報酬のハイブリッド型が無難
参考にした情報
お小遣いの平均額・開始年齢:東証マネ部!/足利銀行
定額制・報酬制の比較:ソクラテスのたまご/スタートゥー